あおもみじの読書ノート

Amazonの欲しいものリストが本ばかり、年間100~200冊読む乱読系会社員の読書の記録

この経験を生かせるか?―史上最悪の感染症―

新型コロナの感染者数が
再び増えている昨今ですが、
(オミクロン型に対応してるかは
置いておいても)
ワクチンもあるし、
治療薬もどんどん開発されて
承認されつつあり、
アフターコロナについて
考え始める時期に来ているように思います。
 
これは2017年に書かれた本ですが、
COVID-19のパンデミックを経験した今では、
筆者の警告が現実になるだろう
(現実になった)と
感じつつ読むことができます。
 
史上最悪の感染症
マイケル・オスターホルム他/著
結核、マラリア、エイズ、エボラ、
コロナウィルスであるSARS・MARS、
インフルエンザなどが
どのように流行し、
人々がどう対応したのか
が書かれています。
 
中でも、
パンデミックの章、
1918年のスペイン風邪並みの
高い毒性を持った
インフルエンザウィルスのパンデミックが
現代社会で起こったとする
架空の机上演習のシナリオの内容は
2020年から私たちが経験したこととの
類似点に驚かされますし、
リアリティをもって引き込まれます。
 
(このシナリオは上海都市圏で
最初に発生したと設定されています)
・上海エリアで急速に拡大している危機が
 インフルエンザの世界的流行の兆候だと
 中国当局が確信する頃には
 既に世界中で患者が発生している
・バイオテロ?との憶測が流れる
・世界的には″上海かぜ″と呼ばれ、
 中国では″西洋かぜ″と呼ばれる
・中国の工場停止に大きな影響を受けた
 産業で物資の不足がみられるようになる
・いろいろな医療物資か不足する
・患者数は一度減った後に第2波が来る
 
もちろん、
COVID-19のパンデミックと
シナリオとの違いもあります。
・フライトの休止、入国制限が行われた
・ロックダウンによる営業休止、
 行動制限が行われた
・新しいタイプのmRNAワクチンが使われた
・薬やワクチン接種を求める暴動はなかった
 
これは、
ウイルスの毒性や性質に
違いがあることに加えて、
ウイルスやワクチンの専門家と、
一般人や実際に決断する政治家では
知識の差があり、
判断や行動も変わったことも要因かな、
とおもわれます。
 
そして、恐ろしいけれども
目を背けてはいけないことは、
COVID-19のパンデミックすら
終息していませんが、
次のパンデミックは
いつか必ず起こるということです。
 
それが、
スペイン風邪レベルの毒性の
インフルエンザであった場合、
致死率は高く、
特に若年層で
サイトカインストームによる死亡
が増加するという、
深刻な事態になると想定されます。
 
その被害を小さくするための備えとして、
 
・重要な医薬品、物資、機器の
 製造拠点の分散
・緊急時にのみ必要な医薬品への
 研究、開発、製造、流通への仕組み作り
 と継続的な投資
・ユニバーサルワクチンとも呼ばれる、
 ほとんどの型のウイルスに有効な
 ワクチンの開発
 
が必要であると
筆者は言いますが、
過去のSARSの流行では、
流行の終息と共に
政府、企業の感心が
失われてしまったそうです。
 
今回はSARSの比ではない
全世界が経験したパンデミックです。
この経験を
私たちは生かせるでしょうか。
 
喉元過ぎれば、にならないよう
関心を持ち続けたいと思います。