あおもみじの読書ノート

読んだ本、興味がある本について綴っています

当たり前のことをうまくやれなくたって、 彼の人生はうまくいってる-家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった-

Kindle Unlimitedでダウンロードしたものの、
なかなか読まずにいる本はないですか?
そのうちに読み放題対象から外れてしまって。
 
利用をやめるには惜しいし、
かといって今読みたいわけではないし、という本。
積んでないけど、積読。
 
そんな積読本を一つ読みました。
 

家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった

岸田奈美/著
 
でも、無料お試し版があるみたいです。
(以降、内容を細かく書いて、
ネタバレっぽくなっています。ご注意ください)
 
車いすユーザーの母、
ダウン症で知的障害のある弟、
ベンチャー起業家で急逝した父―
「楽しい」や「悲しい」など一言では
説明ができない情報過多な日々の出来事。

 

その中でも、
当事者の岸田さんだけでなく、
読者が見える世界も変わるようなお話が
どん底まで落ちたら、世界規模で輝いた
です。
 
岸田さんは
注意力散漫で、
細かいことを丁寧にやることが大の苦手で、
事務処理やスケジュール管理がうまくできないそうです。
 
ベンチャー企業で広報として活躍されてきたのだから、
その欠点を補って余りあるくらい、
他人を巻き込んで動かす力がある人なんだろうな、
と私は思うのですが、
企業勤めは規則ばかりなので、
事務処理が苦手だと、当人はしんどいでしょうね。
 
みんなが当たり前にできることが、できない。
他人に迷惑をかけるために生まれてきた非常識人間だ。

 

ずっと生きづらさを感じて働いていたのが、
ある人の言葉がきっかけで、心身の不調に陥り、
2ヶ月休職することになります。
 
そんな休職中のある日、
岸田さんは良太さん(弟さん)と
パルケエスパーニャ(三重県にあるテーマパーク)に行きます。
 
パルケエスパーニャに向かうバス停で
長い列に並んでいたところ、
「両替ができませんので、小銭のご用意を!」の声が。
Suicaで乗るつもりで、小銭を持ち合わせていなかった
岸田さんは焦ります。
 
そして何を思ったか、
岸田さんは良太さんに1000円札を握らせて、
親指と人差し指で輪を作り、
「あのインフォメーションっぽいところで、くずしてきて!」
と送り出します。
 
歩いていく良太さんの背中を見送りながら、
岸田さんは後悔します。
そもそも、お札をくずす、ということが伝わったのか、
そしてきっと両替をしたことはないだろうと。
(良太さんはダウン症で知的障害があります)
 
ところがです。
良太さんは堂々とのっしのっしと戻ってきました。
左手に小銭を、右手にコカ・コーラのペットボトルをもって。
 
良太さんはインフォメーションで両替したことがなくても
自動販売機でジュースを買ったことはあります。
これまでの人生で得てきたなんとなくの経験値と
周りの大人の見よう見まねでやり遂げたのです。
 
この良太さんの強さ、逞しさを見て、
岸田さんは目が覚めます。
 
良太を見てみろ。
当たり前のことをうまくやれなくたって、
彼の人生はうまくいってる。
楽しくやれてる。
楽しくやらない方が、損なのだ。
両替するために、
コーラを飲んだっていいのだ。

 

面白かった。
読み終わった後に自分に優しくしようと思う本でした。
 
 
 
実は先にこちらの本を図書館で借りて読んだのですが、
こちらの本がちょっとしんどかったので、積読になってたのです。

もうあかんわ日記

父は他界、弟はダウン症、
母は車いすユーザーからのコロナ禍に生死をさまよう大手術、
間におじいちゃんの葬式が挟まって、
ついには、おばあちゃんがタイムスリップ。

 

「人生は、一人で抱え込めば悲劇だが、人に語って笑わせれば喜劇だ」は
チャップリンならぬ
ナミップリン(岸田奈美さんのこと)の言葉ですが、
残念ながら、私は笑えず。
 
それでも、
この本当にもうあかん、とんでもない状況を
最後まで読ませてしまうのが
彼女の筆のすごさです。
 
私も、いつも心にクールポコを住まわせて、
「なーにー、やっちまったな!」で乗り切る術は真似したい。