遺伝子検査で病気のなりやすさがわかったり、
mRNAワクチンが接種されるようになったり、
遺伝子が ずいぶん身近になりました。
同じ遺伝子を持っていても、
環境で働きが変わるという、
エピジェネティクスについて知りたくて
読んでみたのがこちら。
遺伝子のスイッチ
生田 哲/著
遺伝子を使うか使わないかを
切り換えるスイッチがあり、
それを研究する学問がエピジェネティクス。
遺伝子自体を変異させるのではなく、
DNAや、DNAが巻き付いている
ヒストンというタンパク質に
タグが付いたりはずれたりすることで
遺伝子のスイッチがオンになったり、
オフになったりする。
依存症のひとが無意識でシンボルとなるものを見ると、
報酬と繋げてそれを期待してしまうことや
(すごく有名な例ではパブロフの犬)、
抗うつ薬が効くのに時間がかかる理由、
子供の頃の愛情が少なく、
ストレスがかかった人は
大人になって心の病だけでなく
慢性疾患のリスクが高くなることが、
遺伝子のスイッチが
どのように働いて起こるのか説明されています。
環境によって遺伝子のスイッチが切り替わることはわかった、
知りたいのはその先、
スイッチを望む方に動かす方法と
それにかかる時間ですが、
そこまでは書かれていません。
その辺りはこれからの研究なのでしょう。
あと、母親マウスと子マウスの話が続きすぎて、
産みの親より育ての親ならば、
育てたのが父親だったらどうなるのか?
ということが気になって気になって。
マウスの実験についての知識がないんだけど、
マウスのオスは子育てしないのかしら?
専門用語が多いですが、読みやすく、
他の遺伝子のスイッチも知りたくなる本でした。